こんにちは。
ライジングサン・システムコンサルティングの岩佐です。
この記事では、オンラインストレージサービスであるDropboxと、FileMakerプラットフォームを連携することで得られる3つのメリットをご説明します。
FileMakerプラットフォームは、Ver16からcURLが標準化され、世の中にある様々なWebサービスとの連携がますます簡単にできるようになりました。
今回ご紹介するDropboxは、そのcURLオプションを使うことでより簡単に連携できるようになったサービスのひとつです。
このDropbox、1ヶ月たったの1,200円というとても魅力的な価格で、1TBもの大きなストレージを使用することができます。(※2017年11月現在)
そしてDropboxには、一般的なオフィスアプリケーションのファイルはもちろんの事、写真データ、音声データ、動画データ等、あらゆる電子ファイルを保存することが可能です。
また、動画ファイルを保存すれば、なんとストリーミング再生をすることも可能です。
Dropboxは一般的に、WindowsのエクスプローラやMacOSのFinderのようにファイルシステムの延長で使われることの多いサービスです。
しかしながら、ある特定の問題・課題を解決するために開発されたカスタムAppと連携できるとなると、その可能性はより大きくなります。
FileMakerでの開発経験がある方に対しては、オブジェクトフィールドのデータがDropboxに保存される…と表現するとより分かりやすいかもしれません。
ファイルサイズの大きなメディアファイルを、大量かつ安価に保存可能となると、さっと思いつくだけでもこのようなニーズに対応することができそうです。
- 紙でファイリングされていた膨大な設計書・仕様書等をスキャンして電子化し、検索可能な状態でデータベースに保存したい。
- 製造業の現場で働く引退間近の匠(たくみ)の技を、動画で残して技術伝承したい。
- 大量のCADデータを、プロジェクトごとに整理し、各設計データをキーワード(タグ)で検索できるようにしたい。
- 医療・介護施設において患者さん/利用者さんの日々の経過を動画・写真で長期間記録したい。
- 橋梁やトンネル、もしくはエレベータや建築物等のインフラ保守において、日々のメンテナンス記録を写真・動画で記録したい。
- 大規模なWeb制作/アニメ制作プロジェクトにおいて、各種メディア情報を一元的に管理したい。
- e.t.c…
これらのニーズは、これまでコスト的な問題や技術的な問題で、簡単に対応することが困難なものでした。
ところが、DropboxとFileMakerプラットフォームが連携することによって、極めて短期間に、そして安価に解決できる可能性が出てきました。
これらのニーズに共通する課題は、大容量でかつ高速なストレージが必要ということです。
これまでにように、各企業がオンプレミスでこのようなストレージを用意しようとした場合、そのディスク費用だけで相当のコストがかかっていました。
しかし、Dropboxという安価で高速なオンラインストレージを活用することにより、この問題を一気に、そして安価に解決することができます。
そして、このDropboxとFileMakerプラットフォームのカスタムAppを連携させることで得られるメリットは大きく3つあります。
1.通信負荷を分散することができる
真っ先に思いつくメリットは通信の分散化です。
ソリューションの利用規模が数クライアント、数十クライアントならさほど気にする必要は無いかもしれません。しかし、数百クライアントから常時写真や動画といったメディアデータへの読み書きが発生するようなカスタムAppだといかがでしょうか?
ファイルサイズの大きな写真・動画・音声ファイルへのアクセスが常に発生するようなソリューションは、FileMakerServerのネットワークゲートウェイに通信が集中する結果になります。
結果、ソリューションそのものの応答性能が著しく劣化することが予想されます。さらに、ルーターやその他の通信機器にも大きな影響が及ぶでしょう。
このメディアファイルへの通信パケットをDropbox側に分散することによって、大容量のメディアファイルを取り扱っても、FileMakerServer自体への通信パケットはほとんどFileMakerのデータ部分のみとなるはずです。
2.ディスク負荷を分散することができる
次に思い当たるのがディスク負荷の分散というメリットです。
サイズの大きな写真・動画・音声ファイルは、内部保存形式ではもちろんのこと、外部保存をチョイスしてもデータの読み書き時にかかるディスク負荷が相当大きなものになります。
これをDropbox側に任せることにより、FileMakerServer自体にかかるディスクの負荷を軽減することが期待できます。
また、ディスクの肥大化に伴うバックアップ処理時間の増大も無視できません。
実際、弊社のクライアントにも年間で数百GB単位で写真データが増加するクライアント様がいらっしゃいます。そして、この写真データのバックアップ時間の増大が常に悩みのタネになっています。
さらにディスクの肥大化は障害復旧時間にも影響します。バックアップメディアからのリストアに多大な時間を要してしまうのです。
このようにファイルサイズの大きなメディアファイルを大量に扱うことで発生するディスク負荷を、Dropboxとの連携で軽減することが可能です。
3.CPU負荷/メモリ負荷を軽減することができる
大容量のメディア情報を取り扱う買うことによるCPU負荷/メモリ負荷も無視できません。
写真や動画の読み書き処理は、通信やディスクだけでなく、FileMakerServerのプロセス処理そのものに高い負荷がかかります。
例えば写真データのサムネイルを作成する、動画をストリーミング再生する、外部保存にセキュア保存オプションを使うといった処理は、全てサーバサイドで処理されます。個々の処理は小さな負荷かもしれませんが、これが数十・数百のクライアントから一気にリクエストが発生した場合、FileMakerServerのCPU負荷/メモリ負荷は非常に高くなってしまいます。
結果、メディアファイルの処理には関係のない処理にまで影響を及ぼしてしまい、ソリューション全体のパフォーマンスが低下する恐れがあります。
これをDropbox側に分散することで、FileMakerServerにはデータの登録・検索等の一般的なデータベースの仕事を担当させ、ストリーミングサーバ等の役割はDropboxに任せることができます。
FileMakerServerにはメディアファイルの処理負荷が一切かからないことになるので、CPU/メモリともにコンパクトに構成することが可能となります。
音声の文字化や写真の仕訳が自動化できる可能性
これまでの常識から考えると、FileMakerプラットフォームで一般的に開発されるカスタムAppに、大きなサイズのメディアデータを、大量に保存するような要求はあまり発生しないと思われます。
しかし、FileMakerプラットフォームの強みであるiOSデバイスでの開発容易性から考えると、大量の写真データや動画データを取り扱いたいという潜在的ニーズはかなりあるのではないかと思います。
実際、冒頭にも挙げましたとおり、さっと思いつくだけでも10個ぐらいのニーズはすぐに思い当たります。
重要なことは、これまでの常識を一旦おいて、「もし音声を無制限に保存してもOKだったら…?」「もし写真を無制限に保存してもOKだとしたら…?」「もし動画を無制限に保存してもOKだとしたら…?」と考え、もしそれが実現できたら今のビジネスのどんな課題が解決できるだろうと想像してみることです。
さらにコンシューマレベルでは既に当たり前になっている音声データのテキスト化や、写真の自動仕分けもAPIエコノミーの発達により、エンタープライズレベルでもかなり現実的なソリューションとなってくるはずです。
まとめ
この記事では、FileMakerプラットフォームとDropboxを連携することで得られる3つのメリットを説明してきました。
FileMakerプラットフォームとDropboxの連携に関する具体的な方法は、株式会社フルーデンスの小巻氏によって開催されたWebセミナーが公開されています。
そしてすぐに連携を試すことができるサンプルファイルもフリーでダウンロードすることができます。
こちらのカードリンクから、該当のページへジャンプできますので今すぐご覧になってください。