ICONIXプロセス × FileMaker シリーズのVol.4は、ICONIXプロセスにおける要件分析フェーズの概要を解説します。
多くのITプロジェクトが失敗する80%は要件分析・要件定義が不適切・不十分であったために発生すると言われています。なので、ある程度の経験を積んだ技術者であれば、この要件分析・要件定義フェーズが極めて重要なアクティビティであることを改めて説明する必要は無いでしょう。
ICONIXプロセスでは、ウォーターフォール・モデルの反省から、要件分析フェーズを筆頭に、特徴的な工夫が組み込まれています。
その最も大きな特徴が、前フェーズへの手戻りを許容している点です。
ICONIXプロセスは、ウォーターフォール・モデルのように厳密に各フェーズを分割し、さらに前のフェーズに戻ることを想定しない(許さない)ような硬直的なルールではありません。
また一方、一般的に語られるアジャイルのように、いきなり詳細設計やコーディングから開始するようなこともしません。
より直感的な表現をすると、ICONIXプロセスはウォーターフォール・モデルとアジャイルの中間に位置するような進め方を採用します。
つまりWFモデルほど硬直的でもなければ、一般的に語られるアジャイルほど実装主義でもないといったところでしょうか。
ICONIXプロセスでは、各フェーズのマイルストーンとなるドキュメント種別、作成目的、及びレビューポイントが定義されています。
この点は一般的に語られるアジャイルよりも厳密にルール化されています。
但し、ウォーターフォール・モデルと異なり、「前フェーズへ戻る」ことが前提条件の中に組み込まれています。
一般的に語られるアジャイル手法が、動くソフトウェア(コーディング・実装)を反復しながらブラッシュアップしていくのに対して、ICONIXプロセスでは、UIモックアップと各UMLダイヤグラム(分析・設計)をイテレーティブに反復しながらブラッシュアップするような進め方になります。