「システム開発ってなんであんなにお金がかかるんだろう…?」
「あんなに多額の開発費をかけたのに、でき上がってきたシステムは全く使いものにならない…」
「開発には時間とお金ばっかりかかって、結局やりたかったことの半分も実現できなかった…」
必死の思いで、限られたIT投資予算をしたにもかかわらずでき上がってきたシステムのビジネス貢献度は極めて低い…
このブログ記事のタイトルに目が止まったあなたも、過去このような苦い経験があるのかもしれませんね。
こんにちは。
株式会社ライジングサン・システムコンサルティングの岩佐です。
私たちは、長野県北信地区にある年商100億円未満の企業様を中心に、小予算でムダがなく、そして投資対効果の極めて高い情報システム投資を支援しています。
さて、このブログ記事のタイトルには「年商100億未満の企業が限られたIT予算を戦略的に投資して高いROIを達成するには?」とあります。
「そんなうまい方法なんてあるわけ無いだろ…」
もしかしたらそのように思われたかもしれませんね。
しかし、私がこの記事を書くのは、弊社でサポートさせていただいているクライアント企業様に具体的な実績があるからです。
大企業と比較して、非常に少額の予算しか組めないお客様でも、私達のご支援をきっかけに、小予算でムダがなく、そして投資対効果の極めて高い情報システム投資を実現されています。
では具体的に、少予算でも高いROI…つまり投資対効果を実現するにはどうすればよいのでしょうか?
その前に、一般的な企業のIT予算がどれぐらいの金額なのか…
そこからご説明をして、具体的な投資方法に移っていきましょう。
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目次
定常コストの高騰でさらに圧迫される戦略的IT投資予算
ITRから毎年発表されている「国内IT投資動向調査報告書」では、売上げに対するIT予算比率が毎年掲載されています。その年によって増減はありますが、ここ数年の売上げに対するIT予算比率は概ね1〜2%程度といったところです。
この率を売上規模別に当てはめると概ねこのような結果になります。
100億円:10,000万円〜20,000万円
80億円:8,000万円〜16,000万円
60億円:6,000万円〜12,000万円
40億円:4,000万円〜8,000万円
20億円:2,000万円〜4,000万円
これを仮に1%に固定して新規投資と定常費用の内訳でざっくりと当てはめると、このような結果になります。
新規案件の投資に回せる割合を3割から4割、定常的にかかる費用を6〜7割に設定しました。
こちらもITRの調査結果から導き出したおおよその割合になります。
売上規模 | 新規(30〜40%) | 定常(60〜70%) |
100億円 | 3,000万〜4,000万円 | 6,000万〜7,000万 |
80億 | 2,400万〜3,200万円 | 4,800万〜5,600万 |
60億 | 1,800万〜2,400万 | 3,600万〜4,200万 |
40億 | 1,200万〜1,600万 | 2,400万〜2,800万 |
20億 | 600万〜800万円 | 1,200万〜1,400万 |
こう見ると、やはり定常的なコストがかなりの額を占めています。そしてこの定常的なコストが重くのしかかり、新規の投資…つまり戦略的投資に回せる資金が圧迫されている様子がよくわかります。
新規のシステム開発に投資できる費用の妥当性
ここからは、ざっくり3,000万を新規投資に回せる企業を例に取りたいと思います。
上記の表では、概ね80〜100億円の売上規模の企業ということになります。
まずこの3,000万円をたった1つの新規システム案件だけに投資することはありえないでしょう。
例えばマイナンバー対応だったり、Webサイトのリニューアルだったり、新たなマーケティングツールの導入だったり、セキュリティ対策だったりと、最近は中堅・中小企業でも様々な新規のIT投資案件があるはずです。
こうなると、生産性向上や業務品質の向上、もしくは新規事業を開始するにあたっての新規システム開発に投資できる額はさらにこの半分から3分の2程度になるでしょう。
そうすると、新規投資に対する予算の目安が3,000万の企業は、戦略的投資に回せる事業資金が概ね1,500万〜2,000万といったところでしょうか。
さて、この予算規模を聴いて、システム開発ベンダーで営業職をされている方、もしくは社内の情報システム投資に責任を持つ立場のIT部門長はどう思うでしょうか。
IT技術者の相場感
ソフトウェアをアウトソーシングした場合の平均的な相場感として、IT技術者の人月単価は80〜100万程度になるでしょう。
そして、年間1,500〜2,000万の予算規模に、この単価の技術者をどれだけ投入できるかを考えると、それほど潤沢には投入できないことがわかります。例えば半年のプロジェクトだと、80万円✕2名✕6ヶ月=960万 + 100万円✕1名✕6ヶ月=600万で合計1,560万円です。
これに、新規システム導入に必要なサーバOSライセンスやデータベース管理システムのライセンス、システム開発環境の構築、エンドユーザトレーニング等の周辺コストを加算すると、あっという間に2,000万ぐらいの費用が必要となります。
80万円レベルの技術者を2名と100万レベルの技術者を1名を6ヶ月投下してどれだけのシステムが構築できるかは、使用する開発プラットフォームや、システム開発を委託する側のITリテラシー、IT成熟度、そして受託する側の技術力等によって大きく変動するので一概にはいえません。
しかし一般的には「超小規模案件」という規模に分類されるでしょう。
ずばり言ってしまえば、システム開発を受託する側のベンダーとしては、「あまり請けたくない案件…」という事になります。特に多くの人が見聞きしたことがあるような「大手」と呼ばれるシステム開発ベンダーは、この規模のプロジェクトに興味を示すことはまずありません。
また、このような「超小規模案件」だと、システム開発ベンダーは顧客対応に手間がかかることを知っています。つまり発注側の企業はシステム開発に慣れておらず、一般的にはITリテラシーも非常に低いので、何をつくるかを決めるのにものすごく時間がかかってしまいます。
まして開発費用は確実に値切られるので利益も出ません。
なので多くのベンダーにとってIT投資に慣れていない、ITリテラシーの低い中堅・中小企業は一言でいうと「面倒な顧客」なのです。
小予算のシステム開発も決して簡単ではない
もし、この予算規模の会社が、ネームバリューのある大手IT企業に相談しても、軽くあしらわれる…つまりとんでもない金額の見積もりを提示されるか、自社の傘下にいる下請けの企業をあてがわれることになるでしょう。
つまり、営業窓口は大手企業かもしれませんが、実際にプロジェクトに入るのは、小規模なソフトハウスという事になります。
そしてこの小規模なソフトウェアハウスは、独自でマーケティングしてお客様を開拓して提案して…ということをほとんどやっていません。大手から下請けがメインなので、わざわざ顧客獲得コストをかけてまで新規の顧客を開拓する必要は無いのです。
しかしそれは、システム開発の上流工程や顧客との折衝事に慣れていないことを示します。しかも小規模なソフトウェア開発会社はそのほとんどが技術者です。顧客との高いコミュニケーションスキルを持ち、さらに技術的にも信頼できる技術者というのは非常に数が限られます。
これはより直接的な表現をすると「上流工程を担当できる技術者がいない」ということになります。
結果、システム開発は思ったように進まず、時間ばかりが過ぎていきます。
ベンダー側はいつまでたっても貼り付けた技術者を次の案件に回すことができず、顧客側はいつまでたっても希望するシステムが手にはいりません。
そしてお互いが妥協に妥協を重ねた結果、業務貢献度が極めて低いシステムが生み出されます。
しかもこういった開発のゴールは「システムを完成させリリースさせること」がゴールになります。
決してビジネスの問題を解決することがゴールにはなりません。
なぜなら、開発ベンダーはシステムを納品しないと売上がたたないからです。その結果、開発ベンダーはお客様の問題解決よりもシステムを納品することに心血を注がざるを得なくなります。納品したシステムが、本当にお客様の業務に貢献するかどうかは2の次になってしまいます。
さらには顧客側は窓口になっている担当者にも「いつになったらシステムが入るんだ!」というプレッシャーがかかります。結果、ベンダー側も顧客側の窓口担当者も、ビジネスの問題を解決することではなく、システムをリリースさせることにフォーカスし始めます。
これはベンダー側が悪い、顧客側が悪いという話ではなく、既存のやり方ではどうしようも解決できない構造不幸なのです。なので、犯人探しをしても意味がありません。
しかし現実としてこのような不幸は起こっています。
そしてこの構造不幸は、システム開発プロジェクトが「デスマーチ化(死の行進)」になってしまう温床になっているのです。
つまりこの規模の予算感で、「伝統的な手法によるシステム開発」をやったとしても、それで望む結果を得ることは極めて難しく、さらにはシステム開発を依頼する側も受託する側も決して幸せにはなれない仕組みなのです。
自社の強みを伸ばす新規開発にパッケージやSaaSは向かない
この仮説では、売上規模が概ね80億〜100億程度と設定しました。
この規模の企業になってくると、スタッフの人数は数百名レベル。組織も大きくなり、PCはもちろんのこと、スマホ・タブレット等のスマートデバイスも実業務に導入されていることでしょう。もしかしたら専任のシステム担当者がいたり、業種業態によってはシステム部門を設置する企業も出てくると思います。
しかし、この規模の企業でも未だに手書きの伝票で在庫管理をしていたり、Excelで見積もりや請求・入金を管理していたりという企業も珍しくありません。
取引先との受発注にも未だにFAXがメインという企業も多々あることでしょう。
このように非常に非効率な仕事のやり方をしているので、実はITの導入による生産性の向上という観点からは非常に可能性のある領域なのです。しかし如何せん、大企業に比べると予算規模が極めて小さいことが、ITの利活用による労働生産性の向上に歯止めをかけています。
こういった限られた予算をやりくりするための代表的な手法はパッケージやSaaS等を導入することです。
しかし、自社の強みを強化するためのIT投資であればこの手の「出来合いシステム」は正直あまりおすすめすることができません。もちろん、会計業務や人事給与計算業務等、どこの会社でも同じ仕組みでできる業務のIT化であればパッケージやSaaSの活用は非常に有効な手段です。
しかし、自社の強みを強化することが目的のシステム投資であれば、パッケージやSaaS等の導入はお勧めできません。
自社の強みを伸ばすシステムということは、顧客やマーケットの状況に合わせて素早く、そして頻繁に業務とシステムをアジャストしていく必要があります。
さらに、他者にはない強みを伸ばすIT投資となると、パッケージシステムには、その強みを活かすような機能が搭載されていない確率が非常に高くなります。
このようにお客様やマーケットの期待に応え続けることを目的に、頻繁にシステムの機能を強化・改善していきたい領域のシステムには、パッケージやSaaSを導入することは絶対に避けなければなりません。
そうなるとやはり、自社の強みを伸ばす新規システム導入は、一般的に言われる「スクラッチ開発」
つまりゼロからオリジナルのシステムをつくることが必要になります。
IT投資に不慣れな小予算規模の企業こそ新しい取り組みが必要
このスクラッチ開発には多くの場合、伝統的なソフトウェア開発手法が用いられます。この伝統的なソフトウェア開発手法はこちらの記事にもあるように、極めて投資対効果が低く、そして失敗率の高い開発手法です。
そんな開発手法に、限られた事業資金を投じても、恐らく望む結果を得ることはかなり難しいでしょう。
だからこそ私は、IT予算の限られた中小・中堅企業にこそアジャイルなソフトウェア開発手法とFileMakerプラットフォームをうまく利活用して欲しいと思っています。
弊社のお客様は、このアジャイルなソフトウェア開発手法とFileMakerプラットフォームを使って、次々に業務品質を改善し、そして労働生産性を向上させるシステムを開発・導入されています。
しかもそれをかなりの短期間・小予算で達成されています。
例えば直近の事例ですと、売上30億円規模の製造業のお客様での実践事例があります。
こちらのお客様はなんとたったの2ヶ月、300万円以下の費用で物流業務を支援する新規システムを開発・導入。それまで毎日の様に発生していた物流業務の発送ミスをシステム導入の翌日から完全にゼロにしました。
システム導入前は、発送ミスのリカバリ作業を、物流部門の数名のスタッフが毎日1〜2時間かけてフォローしていました。
そしてシステム導入後は、この何の価値を生まないムダな時間が完全にゼロになりました。
この業務削減効果は極めて大きく、IT投資という観点からも極めて高いROI(投資対効果)を達成されました。
さらに、発送ミスの減少による顧客満足度の向上という定性的・副次的な効果も期待されます。
このシステムは、伝統的なソフトウェア開発手法を使っていたら恐らく1年以上、1,000万以上のコストが発生していたことでしょう。そしてこれだけの時間とコストを使っても、本当にこの問題を解決できたかどうかはわかりません。
それがなぜこれだけローコストで、極めて短期間に開発でき、さらに具体的な効果を得られたのでしょうか。
それは、アジャイルなソフトウェア開発手法とFileMakerプラットフォーム、そしてソフトウェア開発の内製化の3つのキーワードに集約することができます。
アジャイルなソフトウェア開発は非専門家に優しい
まずアジャイルなソフトウェア開発手法は、システム開発に不慣れな…先の表現を借りると「ITリテラシーの低い」企業にも優しいシステム開発手法です。
なぜなら、ソフトウェア開発の仕様調整を全て「実際に動くソフトウェア」を用いて行うからです。
伝統的なソフトウェア開発手法では、「要件定義書」や「設計書」といった専門家向けの包括的なドキュメントを媒介して委託側と受託側が合意形成を図ります。
一方、アジャイルなソフトウェア開発では、実際に動くソフトウェアを使いながら、そして多くの対話の通じて合意形成を図ります。
包括的なドキュメントと実際に動くソフトウェアを比較した時に、どちらがよりわかりやすく、どちらがより「非専門家」にやさしい手法でしょうか?その答えはわざわざ記することは無いほど明確です。
当然後者…
実際に動くソフトウェアを用いたほうが、非専門家にもやさしい手法になります。
圧倒的に高い開発生産性をほこるFileMakerプラットフォーム
次にFileMakerプラットフォーム。こちらについては、何をおいてもその開発生産性が非常に高いことが特筆されます。
これは私の個人的な感覚ですが、伝統的なソフトウェア開発手法で用いられるプログラミング言語やデータベース管理システムを用いて開発した時の生産性と比較すると、少なくとも5倍以上の生産性を誇ります。
私自身、伝統的なソフトウェア開発手法・一般的に用いられるプログラミング言語とデータベース管理システムを使って数多くのプロジェクトを経験してきましたが、このFileMakerプラットフォームの開発生産性の高さは圧倒的です。
さらにこの2つに「内製化」というキーワードが入ると、さらに開発生産性が向上します。
このお客様は、この内製化を期に、社内にFileMaker認定デベロッパーが誕生しました。
こちらのご担当者様は、もともとプログラマではありません。
IT技術者でもありません。
情報システム部門の担当者でもありません。
生産管理部門のスタッフです。
その社内技術者と私とが同じシステムを共同で開発することで、極めて理想的な相乗効果を生み出しています。
私からお客様に対しては、効率的なシステム開発手法や拡張性の高いデータベース設計の専門知識、及び高度なアルゴリズムを使ったソフトウェア開発技術を伝授します。
そしてお客様は、それを活用して「自分たちの業務にマッチするシステム」を自らの手で開発します。
その結果生み出されたのが、先にご紹介したたったの2ヶ月、300万円以下で、極めてビジネス貢献度の高いローコストシステムなのです。