コンサルティング

中堅・中小企業がIT戦略の策定時に注意すべき3つの落とし穴とは?

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こんにちは。
株式会社ライジングサン・システムコンサルティングの岩佐です。

さて、突然ですがあなたの会社では、「経営戦略」や「IT戦略」が策定され、その内容が関係スタッフに可視化されているでしょうか。

そしてその戦略の実行過程がいつでも手に取るように把握できるような計数管理のシステムは構築されているでしょうか?

恐らく多くの企業はそうではないと思います。

私自身、そのような会社で働いたこともないですし、そのようなお客様からお問い合わせを頂いたこともありません。

つまり、多くの企業では戦略を持っていないことはあたり前ですし、戦略のような何かを持っていたとしても、それは経営者や経営トップの頭の中に入っているだけ。それを実際に実行するスタッフにまで可視化されていることは殆ど無いでしょう。

また、実行するスタッフさんに可視化までできていたとしても、それが具体的にどのような進捗状況かを客観的に把握できるような計数管理システムが整備されている会社といえば皆無と言っても良いでしょう。

もちろん、このブログ記事は、このことが悪いと主張するための記事ではありません。

戦略なんてものは持っていなくても日々のビジネスはなんとか回ります。なので、戦略策定のような面倒な仕事は後回しにされてしまうことは、致し方ないと思います。

しかし、私達のあるクライアント企業様では、ある瞬間から戦略の重要性に気が付き、自分たちの手で戦略策定の作業を開始されています。

そしてその戦略策定の作業が、一般的な教科書とは全く逆のアプローチで進んでいることが非常にユニークです。

その、あるときはっと戦略の重要性に気付く瞬間とは具体的にどのような瞬間なのでしょうか?

また、一般的な戦略策定の教科書とは全く逆のアプローチとは具体的にどういった手法なのでしょうか?

この記事では、実際に私達がサポートしているお客様で今起こっている戦略に対する考え方の変化について書いてみたいと思います。

 

トップダウン? or ボトムアップ?

IT戦略を策定する時や、ITプロジェクトを企画する時には、一般的に2つのアプローチがあります。

ひとつは最初に大きな絵…つまり向こう3年程度の中長期のIT戦略や、IT投資ロードマップの・ようなものを策定して、それにしたがって進めていく、いうなればトップダウン的な方法。

そしてもうひとつは、今現場で困っていることを少しづつITを使って改善していきながら、らせん状に全体を組み立てていくボトムアップ的な方法です。

一般的な教科書では、まず最初に経営戦略を策定し、その経営戦略に基いたIT戦略を策定。その後、策定されたIT戦略に基いて具体的なIT資源の調達プロジェクトを立ち上げ…と書かれています。

しかし、多くの企業では、目に見える形で経営戦略を策定されているケースはかなり少ないと思います。もしくは経営戦略のような何かがあったとしても、それが可視化され、必要なスタッフ全員が「暗唱」できるほど伝達はされていないのではないでしょうか。

経営戦略は、ぼんやりとしたものであっては絶対に達成できません。

少なくとも、何を・どういった手段で・どういった順番で・いつまでに達成するか…その具合的な施策、つまり戦術と、その戦術が確実に実行されていることを継続的に計測するためのKGIとKPIが設定され、さらに経営層にはその計測値が日々届くようなレベルで無ければ、その戦略が達成される可能性は極めて低いでしょう。

KGIは「Key Goal Indicator(キーゴールインジゲーター)」の略で、一般的には「重要目標達成指標」と翻訳されます。

次にKPIは「Key Performance Indicator(キーパフォーマンスインジゲーター)」の略で、一般的には「重要業績評価指標」と翻訳されます。

簡単に例えると、KGIは目的地。そしてKPIはその目的地に確実に近づいていることをしめす「一里塚」の・ようなものと思っていただければ大丈夫です。

KGIとKPIについて書いたのは、計測できないものは改善することができないという現実があるからです。

体重を減らすダイエットプロジェクトを開始する時、一番大切なことは食事を減らすことでも、運動量を増やすことでもありません。

一番重要なことは体重計にこまめに乗って、その数値を記録する習慣を付けることです。

経営戦略の策定と実行も、このダイエットプロジェクトと全く同じことがいえます。

経営判断に必要な各係数情報…つまりKPIが日々タイムリーに、経営トップを含めて必要なスタッフに可視化されてこそ、その経営戦略が「成就」するための前提条件が整うと言ってもいいでしょう。

しかし、この経営戦略をつくるのは非常に難しい作業なのです。

トップダウン・アプローチに内在する3つの問題

経営戦略の策定やIT戦略の策定といった、ある意味「非日常的な業務」は、そういった経験があまり豊富でない中堅・中小企業が取り組もうとすると、様々な壁にぶち当たります。

私が感じている壁は特に次の3点です。

  1. 具体的な戦略策定のプロセス…つまり作業手順がわからない。
  2. 外部のコンサルタントを雇うと信じられない程高価なフィーが必要。
  3. 教科書通りに戦略策定プロセスを進めても、それが達成できる可能性は極めて低い。

1.具体的な戦略策定のプロセスがわからない。

多くの中堅・中小企業では、先にも書いた通り戦略策定という仕事は、非日常的な仕事であり、あまり馴染みのあるものではありません。なので、何の事前学習もなく、いきなり戦略策定の仕事に取り掛かれることはまず無いでしょう。

また、経営戦略策定の教科書では一般的に、まず経営者に対するインタビューから始まります。

経営者はこの先、この事業をどの様に成長させて行きたいのか。

その為に、どの分野に対してどの様に投資をしようとしていこうと考えているのか?

その為に、人や組織をどの様に成長させるべきなのか?

その為の足かせ…つまり問題になっていることは何なのか?

このように、経営者もしくは経営トップに対して、今思っていることを根掘り葉掘りヒヤリングすることから始まります。

これは、経営者にとってもスタッフにとっても実は非常に厳しい作業です。

恐らく経営者であれば、「そんなことは聞かなくてもわかるだろう」という思いもあるでしょうし、自社のスタッフに対して、自分が思っていること、考えていることを素直に話すことができる経営者は非常に少ないのではないでしょうか。

また、スタッフも自分の会社の経営トップに対してインタビューするのは、精神的なハードルが非常に高いものです。特に数十億レベルの会社になると、一定のピラミッド型組織が構築されているので、スタッフと経営層の間にはそれなりに距離があります。

そんなお互いの関係性の中で、それぞれが思っていることを率直に対話し、その内容を戦略から戦術に落とし込んでいくのは思った以上に難しいことだと思います。

さらに、経営戦略の策定方法が指南された書籍を手にとっても、その多くは経営コンサルタントや戦略コンサルタント向けに書かれた難解な専門書がほとんどで、「実用書」として使える書籍はあまりありません。

このように、いざ戦略策定を始めようとしても、具体的に何をどういった方法で進め、どのような表現方法で可視化すればよいのかがイマイチわからないのがひとつ目の問題です。

 

2.外部のコンサルタントを雇うと信じられない程高価なフィーが必要

自社の力だけで戦略策定プロセスを進めることが困難だとわかると、一般的には外部からコンサルタントを招聘して、プロジェクトを進めようとします。

しかし、ここにも大きな問題があります。

外部のコンサルタントに支払うフィーは、一般的に信じられない程高価です。

一般的に大手企業のITコンサルタントは、どんなに安くても人月単価…つまりその人を1ヶ月「買う」と、150万から200万円が相場になってくるでしょう。

時には300〜500万、時にはそれ以上のコンサルティングフィーが発生しても珍しくありません。

そしてコンサルティングの期間はどんなに短くても3ヶ月。それを最低でも2〜3名のチームで動きますので、経営戦略の策定とIT戦略の策定で、概ね1,000万の予算が必要になります。

年商100億以下の中堅・中小企業でこれだけのコンサルティングフィーを投資して、経営戦略やIT戦略を策定しようと考える企業はまず皆無でしょう。

また、たまたま「非常に安いフィー」で請け負ってくれるコンサルタントを見つけたとしても、それはまた別の危険が内包されています。

その内包されている問題は2つ。

ひとつは「教科書通りの理想論」だけに頼ってコンサルティングを行う未熟なコンサルタントである可能性が高いということが1点。

次に、「システム導入が前提となるようなコンサルティング」を行う「営業型コンサルティング」である可能性が高いという2つの問題です。

前者は、簡単にいうとコンサルタントやITプロフェッショナルとしての経験が極めて未熟で、ITコーディネーターなどの資格取得を契機にコンサルタントとして独立したパターンのコンサルタントに多いです。

自身のキャリアに具体的な経験が無いので、教科書通りの対応しかできず、理想論を押し付けてしまうのです。

後者の問題は、業界用語だと「戦略的受注」などと呼ばれ、後工程のシステム開発プロジェクトを受注することを前提に、戦略立案や企画などを格安か無料で行うパターンです。

この場合、コンサルタントは自社のSEやプログラマを「食わせる」ために、新規システム開発ありきでコンサルティングを進めていきますので、お客様の問題を解決することは2の次。実際には開発プロジェクトを受注できるように誘導することが、コンサルティングの主目的になります。

このトリックにハマる企業様は実際非常に多いようです。

 

3.教科書通りに戦略策定プロセスを進めても、それが達成できる可能性は極めて低い。

コンサルタントに高額なフィーを払って立派な戦略ができたとしても、それが実現できるかどうかはまた別の問題です。

戦略とはある意味絵に描いた餅。それは仮説であり青写真でしかありません。

重要なのは、戦略が実行され、検証され、そして改善されて、戦略にある各KGIを達成できてこそはじめて戦略を立案した意味があります。

よくコンサルタントに対する批判として、「山のようなレポートだけをつくって、実際には何もやってくれない」という意味合いのことをよく耳にすることがあります。

コンサルタントはある意味、自分の知見を文字にしてお客様に見せることで価値を感じてもらうことが仕事なので、頭の中にある大量の抽象的な情報を文字情報に起こして、大量のドキュメントにすることは、彼らの力量をお客様に知っていただく数少ない手法なのす。

しかしお客様にとってみれば、そんなペーバーはどうでもよく、本当に求めているのが具体的に問題を解決してくれる何か…ITの分野だと、具体的なソフトウェアになります。

にも関わらず、コンサルタントが作成するのはレポートのみ。

さらに多くのコンサルタントは、大企業の経営に最適化されたコンサルティング手法を学んでいることが多いので、中堅・中小企業から見ると「絵空事」のようなレポートが作成されることがあります。

これでは、その戦略が達成される可能性は極めて低くなります。

少なくともそこで提示されたレポートは、実働部隊のスタッフにまで、完結にわかりやすく、そして親近感のあるような内容でなくてはなりません。

それが難解や用語や、実現可能性の低い理想論ばかりが並べられた「崇高なレポート」を見せられても、それが実際に成就する可能性は極めていくいでしょう。

このように、中堅・中小企業がいざ戦略を策定しようとしても、このような壁が立ちはだかります。

 

ボトムアップ・アプローチでの戦略策定

このように、教科書通りのトップダウン的なアプローチで戦略を策定しようとしても、中堅・中小企業にはハードルが高く、また失敗リスクも非常に高いです。

もちろん、私達はこのトップダウンアプローチを否定するものではありません。実際、このアプローチをつかってうまく行っている企業様もあると思います。

しかし、私たちはより実現可能性の高い方法もあるのではないかと思っています。

というのも、実際に私達のお客様はこのような教科書通りのアプローチではなく、全く逆のアプローチで、実現可能性の極めて高い戦略を策定されているからです。

 

具体的な成功体験から戦略を策定の重要性に気付く

まず、私達にお声がけいただくお客様は、最初に確固たる「IT戦略」を持っているわけではありません。そして、私も無理に「IT戦略」の策定を促すことはありません。

多くの企業さまは、「まず今困っている◯◯を解決したい」と思ってお声がけいただきます。

そのような企業様に対して、私のようなITプロフェッショナルが「まずは戦略を立てましょう」と言っても「そうですか!では戦略策定のお手伝いをお願いします!」とは絶対になりません。

私はまず、その目の前で困っている事を、幾つかに要素分解し、最低でも3ヶ月以内で具体的なソフトウェアを導入して、具体的に問題を解決するという手法を取ります。

その後も、早ければ1〜2ヶ月単位で新しいソリューションを矢継ぎ早にリリースしていき、目の前で起こっている問題を少しづつ解決していきます。

そして半年、1年たった頃には、最初にかかえていた問題のほとんどが解決できているという状態にします。
ここまで来ると、お客様は「もっとITをいろんな業務に利活用してよりビジネスを洗練していきたい」と思うようになります。

このタイミングではじめて簡単な「戦略策定」のお話をします。

お客様自身も、この頃には「ITはこうやって使うとうまくいく」という勘所のようなものがつかめているので、戦略をつくることにネガティブなお客様はあまりいません。

なぜなら「ITをうまく使えば会社は良くなる」ということを、臨場感を持って理解できているから、そして何より具体的な「結果」を手にしているからです。

人は一般的に確証があることに対してしか行動しません。

全く未経験、つまりリアリティの無いものに対して積極的に行動しようとは思わないのです。

具体的なソフトウェア導入による業務改善の成功経験も無いまま、いきなり戦略を策定しましょうと言っても、それにリアリティを感じて行動できる人はまずいません。

そして無理に教科書通りの戦略策定プロセスを経ても、具体的な成功経験が無いので、良質な戦略…

つまり、実現可能性の高い戦略ができる可能性は極めて低いでしょう。

そして実現可能性の低い戦略に、積極的に取り組みたいスタッフもいないと思います。

結果、苦労して作成した戦略はただの絵に描いた餅になってしまうのです。

 

やってきたことをから、戦略策定プロセスを学ぶ

しかし、具体的な成功体験をもったメンバーが戦略策定をすると、実に良質なものがアウトプットされます。

また、半年・1年と実際にITソリューションの開発プロジェクトを通して、具体的な改善活動をされてきたので、戦略策定のプロセスを学ぶのも早く、確実に身について行きます。

これは「具体的な成功体験」を持っているからこそできることです。

一般的な戦略策定プロセスは、先にも書いた通り経営者の思いや考えていること…つまり、抽象的な情報から、それを具現化するための具体的な戦略や戦術に落とし込んでいくという抽象化から具象化というプロセスをたどります。

しかし、具体的なITソリューション開発プロジェクトを経験されたお客様であれば、これを逆に遡ることも可能なのです。

  • そもそも、なぜ◯◯に困っていたのか?
  • ◯◯の問題をまず最初に解決しようと思ったのはなぜか?
  • ◯◯の問題を解決する過程で、必要だった人の教育や業務フローの整備は何だったか?
  • ◯◯の問題を解決した結果、自社の財務状況にどのようなインパクトを与えたのか?
  • ◯◯の問題は、SWOT分析に当てはめるとどこにプロットされるのか?
  • ◯◯の問題解決は、バランススコアカードに当てはめるとどのように解釈できるか?
  • ◯◯の問題を解決した結果、経営者はどの様に思ったのか、どのように感じたのか…

このように具体的なプロジェクトの結果から、適切な質問を繰り返すことで、少しづつ抽象度を上げていき、今回得られた具体的な結果をより俯瞰して眺めることができるのです。

この俯瞰して眺めるという行為は、簡単そうで実は非常に難しい行為です。

特に、具体的な経験がない状態で物事を俯瞰して見ようと思っても、ただ霧の中に手を突っ込んでいるような感覚で、ぼやっとしか状況が判断できません。

しかし、具体的な成功体験がひとつでもあると、高い視点からある事象を眺めた時にまた変わった見え方がするものです。

例えば自分がよく知っている町並みを高台から眺めて得られる知見と、全く知らない町を高台から眺めて得られる知見では、当然ですが前者のほうがより臨場感をもって、よりたくさんの知見を得ることができるでしょう。

逆に後者だと、いくら人から「あれがなんとかという建物で…」「あそこは◯◯という場所で…」と言われても、それは単なる情報なので、自分がよく知っている町を俯瞰した時の情報と比較すると、やはり臨場感は低いと言わざるを得ません。

そして、戦略が達成されるためには、その戦略に対して「達成した時の臨場感をリアルに感じることができる」という感覚がとても重要なのです。

より直接的な表現をすると、「血の通った戦略」という表現になるでしょうか。

いくら高度なフレームワークや戦略策定手法を用いて立派な「戦略」ができたとしても、その戦略に臨場感…もしくは親近感と言っても良いかもしれません。

そのような感覚を感じることができなければ、その戦略が達成されることは非常に難しいでしょう。

多額のフィーを支払って、立派な戦略をつくっても、それが達成されない理由はここにあります。

それよりも、まずは「非戦略的」であっても、まずは具体的なプロジェクトを通じて学習する。

そして、そこから得られた具体的な経験を元に、初歩的なものでも良いので「自分たちが親近感を持てる戦略」を策定し、それをまた実行してみる。

そしてまたそこから得られた具体的な経験を元に…と、計画と実行・評価と改善を反復しながら、少しづつ大きなものに育てていくという方法が、私はよりベターなのではないかと思います。

まとめ

多くの指南書では、戦略の重要性が説かれ、まずは戦略を立てましょうと謳われています。

しかし、IT投資プロジェクトの経験があまり豊富でない中堅・中小企業がこの教科書通りのプロセスでプロジェクトを進めるのは3つの視点からあまり現実的でないこと書きました。

ひとつは「戦略策定」という非日常的な慣れない仕事を、自社だけで進めるのは非常に難しく、もし進められたとしても誤った方法で進めてしまう可能性があるということ。

2つめは、戦略策定の仕事を外部のコンサルタントと進めようとした場合、非常に高価なフィーが発生してしまい、一般的な中堅・中小企業にはそのフィーの負担が大きすぎるということ。

そして3つめは、いくら教科書通りに戦略策定を進めても、それを実際に実行するスタッフがその戦略に臨場感・親近感を持てないような「他人事の戦略」であれば、それが実現できる可能性は極めて低いということです。

そしてその解決策として、私から提示させていただいたのは、まず小さくても良いので、最低でも3ヶ月以内にリリースできる小規模なミニプロジェクトを通して、「ITを使えば業務は良くなる」という具体的な成功体験を得ること。

そして、可能であれば半年から1年、そのようなミニプロジェクトを何度か経験して、「IT利活用の勘所」をつかむこと。

そしてその勘所を掴んだ後に、それまでに実践してきたミニプロジェクトを振り返り、そこから得られた知見を元に、自分たちが親近感を持てる戦略を策定するという方法を提唱させていただきました。

実はここに書いたことは、今実際に「FileMakerプラットフォームを用いた共同開発プラン」サービスをご利用いただいているお客様で実際に取り組んでいることです。

何より驚いたのは、お客様のほうから「IT投資のロードマップを作りたい」とおっしゃられたことでした。

つまり、私が「戦略の重要性」を進言しなくても、お客様自身がその必要性に気が付かれたということです。

そして、「戦略のたてかた」については、この記事に書いた「川下から川上へ」登るように、具体的なプロジェクトを振り返りながら、戦略策定プロセスで使われる各種フレームワークや手法をレクチャーさせていただきました。

そうすると、非常に理解が早く、コンサルタントが手取り足取りサポートしなくても、自分たちで非常に質の高い戦略策定ができることに気が付きました。

この時コンサルタントとして私がしたことは、適切な質問を投げかけることと、戦略策定のプロセスでよく用いられる一般的なフレームワークの使い方を説明だけです。

私が自らの手を動かして調査をしたり、利害関係者にインタビューをしたり、ドキュメントを書いたりといった具体的な作業は行っていません。

それでも、非常に質の高い戦略策定ができたのです。

ここでいう「質の高い」とは、実現可能性が高いということです。

そしてこの成功体験は、また次の成長につながっていきます。

このお客様は、私が過去経験してきたどんな企業よりも、小資本で最大限の効果を実現されています。

それは、自分たちが具体的に手と頭を動かしていることが大きな要因です。

そして、外から専門家を買ってきて仕事を丸投げするのではなく、外の専門家の力をうまく使って、最終的には自分たちの力で物事を成し遂げるという理念と、その理念に基いた具合的な行動が、この素晴らしい過程につながっているようです。

※記事の中にあるFileMakerプラットフォームを用いた共同開発プランについては
こちらのページにくわしくご説明しています。

※FileMakerプラットフォームに関する詳しい説明は
こちらのページをご参照ください。

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